確かなものは、手にしているか。

モチーフはあの教団。
是枝映画の3作目。前作同様、ARATAを主役に抜擢。それがきっかけで観たのですが、その他のキャストも豪華。伊勢谷友介は今回も”伊勢谷友介”だった。(元々伊勢谷友介ARATAのドキュメンタリーショートムービー的な映像からこの映画は作られたらしい。)夏川結衣は個人的に大好きな女優さんなのですが、不幸な女性をやらせたら日本一だと思う。寺島進を好きになったのはこの映画がきっかけ。
BGMは一切無く、セリフもキーワードとして少しだけ決まっている程度。あとは役者に任せる形で撮ったらしいのですが、キャストは自分の役以外のキャストの背景を全く知らずに撮っているので、微妙な距離感が感じられる。それがまた歯痒くて非常に良いです。主役は絶対にARATA以外は考えられないほどのハマりっぷり。伏線は張られているものの、ARATAにかかるとそれすら伏線には見えない空気を出してしまうのが圧巻。


各所に「DISTANCE」(ここでは”対比”という意味合いも込めて)を感じる物質だったり、セリフだったりがありますが、見終わった後に、より多くそれを感じることが出来るんじゃないかと思う。


DVD特典としてカンヌ映画祭の映像が入っているのですが、ここで是枝裕和監督が内容を喋りすぎているのがとても残念。本編では見ている側の想像を駆使する作りになっているにもかかわらず、あっさりと概要を説明してしまっています。
思いっきり個人的目線から言わせていただくと、このディスタンスでカンヌの赤絨毯を歩いたときの曲(ジェームズ・イハ)が「誰も知らない」でカンヌに行ったときも使われていたというのがちょっと納得いかない。通常カンヌは赤絨毯を歩く際にバックミュージックとしてその映画のメインテーマを流すらしいのですが、メインテーマはおろかBGMすらないディスタンス。「何にします?」と事務局から聞かれた監督は主演のARATAから「僕の中での『ディスタンス』のイメージはこの曲なんです。」とプレゼンされたこの曲を起用したという。
…なんでそれを「誰も知らない」でも使うかな…。

全体的に言えることは、画面がかなり揺れるので、もしかしたら見ていると酔ってしまうかもしれません。
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